RPGのマンガ化
尾田先生はONE PIECEを5年で完結させる予定だったという話は有名で、Wikipediaではこのように掲載されています↓
『ONE PIECE』は当初5年で完結させる予定だった。
新しい島に行けば新しい仲間がいてすぐに仲間になってくれるから、1年半で仲間は全員集まるだろうとゲーム感覚で考えていたからである。
ところが、キャラクターたちはゲームではなく、人間だった。
麦わら帽子をかぶった手足が伸びる人間が現れて「海賊になろう」と言われても、仲間になってはくれない。相当なエピソードがなければ、仲間になろうとは思えない。そこが大きな誤算だったという
Wikipediaより引用
つまり尾田先生は
「物語はRPGと同じように作ればいいんだ」と気付いたということです。
言われてみたら確かにRPGをマンガ化してヒットした作品は多いですね。
ポケモンの場合
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1996年に携帯型ゲーム機ゲームボーイ用ソフトとして発売されたポケットモンスター 赤・緑は、ゲーム業界に革命を起こしたタイトルです。
それまでのRPGは1人でプレイするのが当たり前だったのに対し、ポケモンは違う色のソフトを持っている友達とモンスターを交換しないとポケモン図鑑が完成しないという、協力プレイを前提にした設計でした。
基本シナリオは同じ
出現するモンスターだけが赤と緑で異なるという仕様のため、1人で2色買って進めるのはとても面倒。
さらにモンスターを交換するには通信が必要なので、そもそもゲームボーイ本体も2つ必要になります。
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こうして、兄弟がいる家庭は1人に1台ゲームボーイが与えられ、弟は兄の図鑑コンプのために奴隷にされていくのでした…
このように
- ゲーム業界に革命を起こしたソフトのマンガ化は元々の認知があるのでバズりやすく
- アニメ化しても同じ理由でバズりやすく
- ゲームソフトの新作を出してもヒットしやすい
という勝ち組のループを生み出しました。
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『ポケットモンスター サン&ムーン』Amazon Prime Video
ドラゴンクエストの続編としてのマンガ
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ビニール傘で「アバンストラッシュ」のマネをする男の子でお馴染みのドラゴンクエスト ダイの大冒険(1991)
平成初期に大流行したアニメです。
未だに人気が衰えず2020年にはリメイクもされています↓
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『ドラゴンクエスト ダイの大冒険(2020)』Amazon Prime Video
この作品は、ファミコンソフトの『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の続編を、ゲームソフトではなくマンガにしたパターンです↓
ドラゴンクエスト ダイの大冒険 1 DRAGON QUEST―ダイの大冒険―
大人気タイトルの続編なので、ゲームをプレイしたことのある読者は
- 呪文やスキル、モンスターの動きなどゲームで省略された部分を補う感覚で楽しめる
- 基礎知識があるのでゴールデンメタルスライムの希少価値を瞬時に理解できる
- 友達がRPGをプレイしているのを横で見てる気分になれる
- 自分がプレイヤーだったらこうするのにと、物語に入り込みやすい
…など、ゲーム・マンガ・アニメのターゲット層が一致していることによる相乗効果がハンパなく、一気にバズりました。
このように、ゲームとマンガとアニメは客層がほぼ同じなので
- ゲームでよくある設定をマンガに
- アニメの定番の演出をゲームに取り入れる
という応用もすんなりと受け入れられました。
この法則に目をつけたのが尾田先生です。
※Switch用ソフトのドラクエ1.2.3もあるよ
RPGの元ネタ
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- 1983年7月15日 任天堂からファミリーコンピューターが発売
- 1989年4月21日 任天堂から携帯型ゲーム機ゲームボーイが発売
- 1990年(平成2年)11月21日 任天堂からスーパーファミコンが発売
このスーファミの登場以降、神ソフトが次々と登場しました。
個人的に大好きで、この記事に関係の深いタイトルが
です。
スクウェアのソフトが多めになっています。
RPGの元ネタは世界の神話
ドラクエ1.2.3は合わせて『ロトシリーズ』と呼ばれています。
ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章というマンガでも登場する『ロト』とは、聖書に登場するアダムとイブの子孫の名前です。
つまり神が作った最初の人間の子孫↓
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ドラクエでは、死者の蘇生や毒消し、セーブをする場所が教会なのでキリスト教の要素が強いですね。
また、ドラゴンをモンスターとするのも聖書の影響です。
一方、スクウェアのRPGでは
- 北欧神話のオーディン
- インド神話のシヴァ
- イスラム教のイフリート
- 旧約聖書のべへモット(バハムート・ベヒモス)
- 空想上の怪物カトブレパス
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など、召喚獣や敵モンスターとして世界各地の神話や伝説上の生物が登場します。
FF5のオーディンをよく見ると、乗っている馬は8本足で神話のスレイプニルに忠実に描かれています↑
つまり「ファイナル・ファンタジー」とは、世界中の神話(ファンタジー)を混ぜ合わせた物語という意味なんでしょう
ちなみにロマサガも聖剣伝説も、ファイナル・ファンタジー外伝としてスタートしているので根っこは一緒です。
尾田先生は1975年生まれなのでスーファミ発売当時は15歳。
まさにゲーム盛りだったことでしょう。
で、スクウェアのRPGが特に好きだった事がONE PIECEのパターンからわかります。
ワンピースとスクウェアのRPG
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いくら攻撃してもダメージを受けず、単体では倒せなかった敵が仲間を呼んだ。
このパターンをRPGのモンスターだと考えると攻略方法が見えてきませんか?
そうです、ボス戦の第2フェーズに入ったんですね。
ということは、最終フェーズでコイツらは合体します。
RPGにありがちな設定はマンガに応用できるんです。
他にも…
フィールド移動は動物に乗る
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- ドラクエ3の空飛ぶ不死鳥ラーミア
- FFシリーズの平地を倍速で移動するチョコボ
など、RPGでのフィールド移動は動物に乗ると早いというお約束があります。
アラバスタの超カルガモ部隊なんてそのまんまチョコボですね
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他にも
- アラバスタではラクダ・カニ・カルガモ
- ウォーターセブンではヤガラブル
- スリラーバークではケルベロス
- 海底ではクラーケン
- パンクハザードではワニ(茶ひげ)
- ドレスローザーではウーシー
など。
動物が大好き尾田先生は
「RPGみたいに主人公がいろんな動物に乗って移動するシーンが描きたい!」と思ってたんでしょう。
人間以外の種族を仲間にする
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FF6の隠しキャラ『雪男のウーマロ』
モーグリを仲間にした後にパーティに入れてから雪男に会うと、モーグリが通訳して会話できるようになり、仲間にする事ができます。
動物と会話ができるチョッパーが、キャロットに対してマウントを取ろうとした時のやり取りがまさに、FF6のモグとウーマロっぽいなぁと思っていました↓
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そして、一番色濃くワンピースに取り入れられているのが『ロマサガシリーズ』です。
『フリーシナリオ』システム
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サガシリーズでは主人公が1人だけじゃなく、世界各地に散らばっているところから始まります。
プレイヤーの好きなタイミングで主人公を切り替えて、キャラごとの全く違うストーリーを進める事ができ、最終的には全員が集結して最終シナリオに進む『フリーシナリオ』システム
当時はとても画期的で常に新しいゲームをプレイしている気分で面白かったことを覚えています。
3D2Yは完全にロマサガでしたね。
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戦闘中の『新技閃き』
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ロマサガをプレイしていて一番興奮することと言えば新技の『閃き』です。
それまでのRPGでは、戦闘終了後のレベルアップで新技を覚え、次の戦闘から使用できるのが当たり前でした。
しかしロマサガは、戦闘中に突然「ピコーン!」と電球マークが出て、今までに無かった新技を繰り出してくれます。
尾田先生もこの瞬間に興奮したクチだから、戦闘中に新技を『閃く』システムにしたんだと思います↓
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合体技の『閃き』
ロマサガでは『新技の閃き』が複数で同時に起こり、いきなり合体技を発動したりもします↓
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この瞬間もやっぱりプレイヤーは大興奮だったので、当然ワンピースにも取り入れられています。
特にオーズ戦は即席合体技がバンバン繰り出されて大興奮でした。
フランキーの即興空間階段造り
からの『スーパー・フラッパー・ゴング』や
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ウソップ・ロビン・ナミ・ブルックの即席合体技
『雷骨剣・革命舞曲ボンナバン』など

ロマサガで興奮した瞬間はマンガで描かれても興奮できますね。
やはりゲームとマンガは相性が良いです。
文字で残る世界最古の神話
ということで、尾田先生は世界各地の神話をミックスしたスクウェア社のRPGが特に好きだったことがわかってもらえたと思います。
で、ロマサガも聖剣伝説も「ファイナルファンタジー外伝」なので、やっぱり本家は世界中の神話をミックスした『ファイナルファンタジー』が物語としては最強です。
当然、脚本家の人は世界中の神話をとことん研究したことでしょう。
それがわかるのがこのキャラの存在↓
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ギルガメッシュというのはシュメール初期王朝時代の伝説的な王の名前です。
石板で発見された世界最古の神話ギルガメシュ叙事詩の主人公として活躍する英雄ですが、実在した人物とされています。
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しかし、ギルガメシュ叙事詩には多くの神々が登場し、大洪水を起こして人間を滅ぼしたり、怪物を作って都市を破壊したりとファンタジー要素が多い物語になっています。
これが聖書の元ネタとも言われているのですが、そうなると実在した王と神々の物語なので、神々も実在したの?と、歴史と神話の区別ができなくて困っています。
※ちなみにFF6で最初に登場するフンババもギルガメシュ叙事詩の登場人物です。

ドラクエシリーズで定番化した石板集めも、シュメール文明の石板発見のニュースがヒントになって生まれたのかも
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シュメール神話の最高神アン
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シュメール・メソポタミアの頃の最高神の名前が『アン』です。
この名前がどうやらイム様と関係がアリそう…
架空のRPGをマンガ化
など、現実とゲームとマンガとアニメがごっちゃになったような作品も色々種類があって、どれも面白いですよね。
個人的には最近ハマっているのがコチラです↓
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『シャングリラフロンティア』Amazon Prime Video
ソードアート・オンラインから恋愛要素を取り除いて、本格ゲームオタク要素を追加した感じ。
モンハンやパズドラなど、いろんなジャンルのゲーム設定をよくもここまで上手にまとめたもんだと、感心すら覚えてしまいます。
オススメなので是非観てみてください。
といったところで今回はお開き。
また来週。
※FF7はプレイしてないけどリメイクされたのね。
セフィロスって翼を片方失ったキングっぽいよね。
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ファイナルファンタジーVII リバース(FINAL FANTASY VII REBIRTH)-PS5
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『神話一覧』記事
全記事サイトマップ
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