ゴア王国は世界が奪い合った港町
共通点1「ピンク色の宮殿」

カラー版コミックでは、ゴア王国の街並みの随所に”ピンク色の建物”が出てきます。
実際にインドのジャイプールには”ピンク・シティー”と呼ばれるピンク色だらけの観光地があり、そこに建つ宮殿にはインドの正当な王族”マハラジャ”が暮らしていました。
イギリスがインドの大部分を”植民地化”し西洋化が進んだ18世紀でも、マハラジャがイギリスに一定額の納税をすることでジャイプールの自治権を維持し、インドらしい街並みを残しています。

共通点2「地形」

ゴア王国は周りが山に囲まれ、国土の一部が海に面した半円形をしています。
いわば港町のような形です。
現実のインド・ゴアも海に面した港町で、古代から中世にかけて香辛料を求めてやってくる世界中の船乗りで栄えた港町です。

以上、二つの共通点からゴア王国はインドのゴアだと言えます。
大航海時代の価値とインド

『富・名声・力。かつてこの世の全てを手に入れた男”海賊王”ゴールド・ロジャー
彼の死に際に放った一言は、全世界の人々を海へ駆り立てた。世は”大海賊時代”を迎える』
ワンピースの世界観は15世紀の”大航海時代”がモデルですね。
ではなぜヨーロッパ人はインドを目指したのかと言うと、当時は黄金よりも価値があったと言う”香辛料”を仕入れる為です。
- 当時は毎日入浴・シャワーを浴びる設備や習慣はないので、肉食中心のヨーロッパ人は体臭がキツ買った。その為、部屋にお香を焚いたり香水を付けたりする”臭い消し”は貴族の常識。原料となる香辛料はいつも不足していたので高く売れた。
- 肉食だが冷蔵庫は発明されていないため、保存・虫除けに匂いの強い香辛料が使われていたが、いつも不足がちでこれまた高く売れた。
- 漢方薬になるので薬として重宝され、医学が発展していなかった中世では高く売れた。
飛ぶように売れる香辛料は、元々は植物ですから”生えている土地”を押さえてしまえば勝ちです。
実際にインドは”ポルトガル”や”イギリス”に武力で支配され続け、独立したのはシャワーや冷蔵庫や医者が普及した19世紀になってからです。
香辛料の価値が低くなったのでインドは独立できたとも言えます。
そんな「用済みになったからポイ」されたインドですが、中世では重要な土地でした。
インドっぽさ1「ターバン」

ルフィの居た”ゴア王国”の住民は西洋風の格好をした貴族と王族が支配しています。
逆にインドらしく頭に”ターバン”を巻いた住民は”山賊”のダダン一家くらいでした。
これは実際の歴史と同じで、海外から来た支配者に王族ごと乗っ取られたので、元々の王族達やその子孫は山奥で山賊に身を落とすしかなかったという意味だと考えられます。
インドっぽさ2「カーリー・ダダン」

ルフィの育ての親で山賊の頭”カーリー・ダダン”の名前もインドの女神が由来です。
インドで一番人気の神”シヴァ”の妻の名前が”カーリー”です。
血と殺戮を好む戦いの女神として迫力のある姿で描かれることがほとんど。
どこかダダンっぽいですね。
ダダンと言う名前も、東インド会社の商人にまつわる単語です。


インドっぽさ3「ククリ刀」

ウォーターセブンで再会したヘルメッポが使っていた”ククリ刀”。
ゾロが「珍しいモン」だと武器を紹介しました。
ククリ刀は、1857年イギリスによるインド植民地支配に反対する民族的抵抗運動”セポイの乱”で、グルカ朝(インド側)の兵士が使用していた武器です。
英語圏ではグルカナイフとも呼ばれ、その殺傷能力の高さに注目したイギリス軍は、反乱後に自国の軍の武器としても取り入れています。

インドっぽさ4「ガンディー」

1947年8月15日、インドの大半を植民地支配していたイギリスは、インドの独立を受け入れました。
その立役者となったのがインド独立の父”マハトマ・ガンディー”です。
非暴力での革命を訴え続けたインドの英雄が、世界の最高権力者”五老星”の一人として描かれている理由については※コチラに書きました
インドっぽさ5「シャンドラ(チャンドラ)」

インドといえば世界4大文明の一つ”インダス文明”が栄えた土地です。
古代文明と言えば黄金都市”シャンドラ”
その地の民族は”生まれながらの戦士”シャンディア。
生まれた時から身分が決まっていると言うのはインドの”カースト制度”と同じです。
また、”シャンドラ”と言うのはヒンドゥー教の”月の神”の名前です。
さらに、月の神が居ると言うことは太陽の神などもいます。
それらをまとめて”九曜”と言います

インドっぽさ6「九曜」

ここに”インド”と”古代文明”と”月”と”ワノ国”が全て繋がりました。
九曜とは、インド天文学やインド占星術が扱う9つの天体とそれらを神格化した神である。
出典:Wikipedia
中国へは『宿曜経』などにより漢訳された。
サンスクリットではナヴァグラハ (नवग्रह, navagraha) で、「9つの惑星」という意味である(実際は惑星以外も含む)。部分的に訳して9グラハとも言う。
繁栄や収穫、健康に大きな影響を与えるとされた。
東アジアでは宿曜道や陰陽道などの星による占いで使う。
江戸時代までは仏教・神道と並んで人気だった日本の3大宗教です。
現在でも続く”土用の丑の日”や、1月1日、3月3日。5月5日、7月7日など奇数月のゾロ目の日を祝う”節句”の習慣は陰陽道の名残りです。
中国から伝わった”陰陽道”は占いの要素も強く、縁起担ぎが大好きな貴族や武将の間で人気で武家の”家紋”にも用いられました。

インド神話
阿修羅

ヒンドゥー教の元になった”インド神話”は、ギリシャ神話のように”神族VS魔神族”の構図になっていて、この魔神族のことを”アスラ”と言い、”阿修羅”の元になっています。
ゾロは仏教用語をよく口にしますが、仏教は北インドで生まれた”釈迦”が作った宗教なので、ゾロのルーツもインドにあると言うことです。
ガネーシャ神とゾウの罪

色んな神が出てくるインド神話ですが、頭がゾウの”ガネーシャ神”は日本でも商売の神様として社長達の間で有名ですね。
ズニーシャとガネーシャ。
ゾウをモチーフにしていることと、名前が似ていると言う共通点があります。
また、インド神話には”ゾウの罪”についても書かれています。
『その昔、ゾウには翼があった。自由に空を飛び、鳥のように木の枝に留まり休んでいた。ところがある日、1頭のゾウが木の枝に留まると、枝が折れてゾウは落ちてしまった。木の麓には休憩していた修行僧がいて、ゾウはその巨体で修行を押し潰して死なせてしまった。
修行僧の師は怒り、ゾウが翼を失い地面を歩くことしかできなくなるように呪いをかけた。それ以来ゾウは翼を失い、地面を歩くことしか許されていない。』

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