ゾロという名前に隠された意味
先日、コチラの記事で『ルフィとニカはインド神話にルーツがある』と解説しました↓

実はルフィだけでなくゾロのルーツもインドに行き着きます
しかもゾロの場合はもっと古い神話まで辿ることができるので、さらに深い考察ができそうです
まずは名前の由来から辿って行きましょう
ワノ国の有力な大名・霜月家をルーツに持ち、日本刀を扱い、仏教を重んじるキャラクターなのにヨーロッパを由来とする名前が付けられているゾロ
実はこの名前自体がワンピース最終章で描かれるであろう「世界の夜明け」を読み解く最大の鍵になっているのです
今回は「キツネ」「仏教」、そして世界最古の一神教と言われる「ゾロアスター教」という3つの視点から、ゾロに詰め込まれた要素と、ワンピースの世界の秘密を暴いていきましょう
スペイン語の「狐」と霜月の相棒
『ロロノア・ゾロ』という名前の由来
ロロノアという名前は17世紀にカリブ海で活動した海賊(バッカニア)のフランソワ・ロロネーから取られています

フランソワ・ロロネー(本名:ジャン=ダヴィード・ノー)は、1660年代にカリブ海で「スペイン人の災厄」と恐れられたフランス出身の海賊
当時の海賊の中でも群を抜いて残虐で、捕虜にしたスペイン兵の胸を切り裂いて心臓を食らったり、街を占領しては住民に凄惨な拷問を繰り返したりした冷酷非道な人物だった
ゾロの圧倒的な冷徹さはフランソワ・ロロネーの残虐なイメージが投影されていると言えますね
ゾロという名前は世界的に有名な英雄『マスク・オブ・ゾロ(快傑ゾロ)』がモデルであることは過去にも解説した通りです

「ゾロ(Zorro)」という単語はスペイン語で「狐(キツネ)」を意味します。
ゾロと狐といえば…
- ゾロの親戚・霜月牛マルの相棒「狐のオニ丸」
- 錦えもんから盗んだ「狐火流」


このように、「ゾロ」には「キツネ」と「火」のイメージが詰め込まれています
さらに「火を操る」「ゾロ」が「仏教」を重んじることも併せて考えると全てが繋がります
「阿修羅」のルーツ
ゾロは仏教用語をよく口にします
この二つの名前のルーツにはニカと同じ共通点があります
地獄の王『閻魔』

日和から譲り受けたおでんの愛刀『閻魔』
その名の通りにゾロはキングとの戦いに勝った際「なってやろうじゃねェか 地獄の王に‼︎」と宣言しました
仏教における閻魔は、地獄の主として恐れられる存在ですが、そのルーツは古代インド神話にあり、元々の名前を「ヤマ」と言います
ヤマはインド神話の中で「人類で最初に死んだ者」とされています
死後の世界へ一番乗りして、後から来る死者たちのために「道」を切り拓き、誰も行ったことのない未知の領域へ進む「先駆者」とされています
闘争を好む鬼神『阿修羅』

カイドウにも大ダメージを与えたゾロの必殺技『阿修羅』
仏教における阿修羅は、正義感が強いあまりに闘争に明け暮れ、救われない「修羅道」の主として描かれます
この阿修羅もまた、ルーツを辿れば古代インド神話の「アスラ神族」に行き着きます
アスラは天界の神々(デーヴァ)と対立する強力な一族でした
ゾロアスター教と「善悪の逆転」
なぜゾロは、あえて「阿修羅」や「閻魔」という、世間一般では「悪」や「恐ろしいもの」とされるイメージを纏うのでしょうか
その答えは仏教のさらにルーツ、数千年前の物語に隠されています
古代インド神話ではアスラ(阿修羅)が悪の神、デーヴァ(天の神)が善の神としてその戦いが描かれていますが、古代インド神話よりも古い「ゾロアスター教」では全く逆の形で語られているのです
ここで、ワンピースの世界における「ルナーリア族」のモデルと言われる、実在の歴史上の民「アーリア人」について触れておかなければなりません
数千年前、中央アジアの草原から、ある一派は「インド」へ、もう一派は「イラン」へと移動しました
同じルーツを持つ彼らの宗教は、環境や歴史の中で二つに分かれていきました
一つは「インド神話(仏教の源流)」、もう一つはイランの「ゾロアスター教」です
そして、ここで人類史上最大の「名前の逆転現象」が起きました
- インド神話: デーヴァ(善神) vs アスラ(悪神)
- ゾロアスター教: アフラ(善神) vs ダエーワ(悪神)

驚くべきことに、古代インド神話で悪の一族とされた「阿修羅(アスラ族)」は、世界最古の一神教であるゾロアスター教においては、最高神「アフラ・マズダ」を指す言葉そのものだったのです
なぜ、これほど鮮やかに善悪が入れ替わったのでしょうか
ここからは推察になりますが、そこには「戦いに敗れた人々の執念」があったのかもしれません
「敗者のプライド」が生んだ物語の改竄?
古代、土地を追われた側の人々が「自分たちは負けたのではない。あいつら(勝利者)こそが偽りの神であり、我々こそが真の正義なのだ」と自分たちのメンツを守るために、物語を180度ひっくり返したのだとしたら……?
これが何を意味するのか
ワンピースの世界に当てはめれば、「世界政府による歴史の改竄」そのものです

世界政府が「善」を気取るこの世界では、かつて「神」と呼ばれたルナーリア族や、太陽神ニカを信仰するバッカニア族など、世界政府にとって都合の悪い存在は根絶やしにされかけています
同じように、数百年前の本当の善悪がどうだったのか、真実が刻まれたポーネグリフも解読するだけで極刑です
というように、実際の歴史とワンピースの世界がリンクします
救世主ゾロと「最後の審判」
ゾロアスター教は、後のキリスト教やイスラム教にも多大な影響を与えました
「天使と悪魔」「最後の審判」、そして「暗黒の時代に現れる救世主」という概念を世界で最初に作ったのは、このゾロアスター教だと言われています。
ゾロアスター教は別名「拝火教(はいかきょう)」
火を最も神聖なものとし、悪を焼き払う浄化の力を信じています
この様に、ゾロの名前
→スペイン語でキツネ→狐火→火を神として崇める拝火教ゾロアスター教→太陽神(火の神)ニカを隣でサポートするゾロ
仏教の技名
→仏教のルーツ古代インド神話→古代インド神話のルーツ古代イラン神話→善悪の戦い、歪められた善悪の一族
つまり、数百年前に世界政府によってひっくり返された善悪の歴史を、再びひっくり返して天竜人の支配下から世界を解放する
その物語のモデルとされるのが古代イラン神話、ゾロアスター教ということです

ワノ国から始まったゾロのルーツの旅は、今や人類文明の源流であるイラン高原、そしてアーリア人の草原へと遡っています
世界が「神と悪魔」に分かたれる最終決戦
その中心に立つのは、最古の神の名を継ぐ「狐」の剣士かもしれません
といったところで今回はお開き。
また来週。
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