仏教から古代イラン神話へ
別の記事でも解説した通り、イム様の名前のモデルが分かりました
イラン最古の王朝であるベーシュダード王朝を納める完璧な王・イマ王です

ゾロアスター教の教典(古代イラン神話)に出てくるイマ王は、死後、人類で最初に死後の世界を開拓した英雄ヤマとして古代インド神話に受け継がれ、やがて地獄の王・閻魔として仏教に受け継がれました
ということで、イム様とゾロはルーツが被っています

なので、イム様を倒した後の真のラスボスはゾロなのでは?
ワンピースの物語の一番最後の戦いは、ウイスキーピークでの「ルフィVSゾロ」の続きだったりして?
ちなみにこの記事は以前の続きなので、この2つを先に読んでから戻って来た方が理解が深まります↓
【モデルとなる神話は時代を遡る】
日本に仏教が伝わったのは中国から。中国に伝わったのはインドから。インドの仏教はインド神話(ヴェーダ)から。そしてその源流は、イラン高原の古代神話から伝わっています
インドにイランの神話を伝えたのはアーリア人で、彼らこそが、ルナーリア族のモデルではないでしょうか

この様に物語が核心に迫るほど、モデルとされる現実の歴史や神話も「より古く、より起源に近いもの」となるため、精度の高い考察をするためにはより古い情報を調べる必要が出てきます
そこで、インド神話からイランの神話に遡るために避けては通れないのが『リグ・ヴェーダ』です
リグ・ヴェーダは、古代インドのバラモン教の聖典で、インド神話の神々が生き生きと描かれた世界最古級の文献です
- ワノ国でルフィを大国主に見立てて
- 漢字の読み方が同じダイコク様にも見立てて
- 大黒天のルーツである明王に遡って
- 明王のルーツのシヴァ神まで遡って
- 破壊神シヴァの要素をエルバフに伝わる破壊神ニカに繋げる
今、エルバフ編でニカとニーズホッグが小競り合いをしているのは、リグ・ヴェーダのインドラとヴリトラの戦いをオマージュしているんだと思います
『リグ・ヴェーダ』
まず『リグ・ヴェーダ』が難解なのが、物語仕立てではなく『火』や『雷』といった自然現象を神格化した「祈りの詩(賛歌)」の集大成だと言うことです

そのため、勉強のために現代語訳の本を買ってみてもなかなか内容が理解できず苦労しました
でも叙事詩とはそういうもので、文字が存在しない時代から数千年にわたって口承で伝えられてきた、歌の様なものです
現代の歌でも、AメロとBメロとサビが全然関係ない歌詞だったなんてこともよくありますよね
そんな感じなんだと思います
第一幕:宇宙の黎明と「二親」の分離
他の神話同様に、リグ・ヴェーダもまた宇宙の混沌から始まります
最初は重なり合っていた天(ディヤウス)と地(プリティヴィー)
この父と母の「二親」が引き離されることで、神々が活動する広大な空間(アンタリクシャ)が生まれた
すべての神々はこの両親から生まれた子供たちだと言われている
第二幕:秩序の監視者(天界)
世界が形を成すと、そこに「正しさ」を司る神々が座した
ヴァルナとミトラ: 宇宙の絶対的な法「リタ(真理)」を守る二人三脚の王
ヴァルナが夜の闇で千の目(星々)を使って人々の嘘を監視し、ミトラが昼の光の中で人々の契約を保証する
彼らは「アーディティヤ(無限の女神の子ら)」と呼ばれる神群の筆頭であり、宇宙が調和して動くための「ルール」そのものだった
第三幕:雷神による「解放」の雛形(インドラ vs ヴリトラ)

ルールがあっても、それを脅かす「停滞」が現れる
ここで最大のドラマが生まれる
インドラとヴリトラ: ヴリトラという巨大な蛇が、宇宙の生命線である「水」を山の中に閉じ込め、万物を渇かせていた
世界が乾き、神々が飢える中、最強の武神インドラが立ち上がる
トヴァシュトリ(工匠神)が鍛え上げた最強の武器「ヴァジュラ(金剛杵)」を手にし、ソーマ(酒神)から無敵の活力を得て、マルット神群(嵐の神々)の咆哮と共にヴリトラを打ち砕き、水を解放した
この勝利によって太陽が昇り、時間が動き出し、世界に「活動」がもたらされた
第四幕:媒介者と祈りの炎(地界)

神々の勝利を維持し、恩恵を人間が受け取るためには、地上の「儀式」が必要になる
アグニ(火神): 神々と人間を繋ぐ「使者」
地上の祭壇で火を焚くと、アグニがその煙に乗って天の神々を招き、供物を届ける
彼がいなければ、人間は神に祈りを届けることができない

ブリハスパティ(祈祷の主): インドラが力で敵を打つのに対し、彼は「言葉の力(マントラ)」で障害を打ち破る
知識と知恵の象徴であり、司祭たちの守護神
アグニと言えば…
チェンソーマンが大ヒットしたことで有名な漫画家藤本タツキも、火の神アグニを主人公とするマンガを連載してましたね
『ファイアパンチ』めちゃくちゃ面白いのでオススメです
第五幕:最初の王「イマ」:後に「地獄の王」と呼ばれる男

『リグ・ヴェーダ』には、「イマ(ヤマ)」という重要な人物が登場します
彼は「人類最初の王」であり、地上に黄金時代を築いた先駆者です
しかし、彼は後に別の神話において、地獄の王へと変化を遂げることになります
この「イマ」という名前の響き、そして彼が歩んだ「最初の王」という足跡
あの虚の玉座に座る存在を予感させませんか?

第六幕:光と再生の循環
世界が動き続けるための、日々のサイクルを司る神々
ウシャス(暁の女神): 毎朝、太陽に先駆けて現れる若々しい美女
彼女が天の門を開くことで、人々は眠り(死)から目覚め(生)、活動を再開する
スーリヤ(太陽神): ウシャスに導かれて現れ、万物を照らし出す
すべての生き物の魂を見守る、天の目だ
アシュヴィン双神: 暁の光の中に現れる双子の救済者
彼らは神々の医者であり、病や困難にある人々を救い、奇跡を起こす

第七幕:懐疑と一元論への到達(第十巻)
『リグ・ヴェーダ』の最後、物語は哲学へと昇華する
創世賛歌: 儀式の最後、ひときわ深い詩がささやかれます
「世界がいかに始まったか、天にいる主なら知っているだろうか。あるいは、彼にもわからないのかもしれない」
最古の聖典に刻まれた、この「知の空白」
真実を求めて旅をする冒険者たちが最後に辿り着く場所には、これと同じ「知の謙虚さ」が待っているのかもしれません
ヴィシュヴァカルマンやプルシャ(原人): 多くの神々、現象はすべて「たった一つの根源」から分かれたものに過ぎない
「真理は一つであるが、賢者はそれを多くの名で呼ぶ」
まとめ:神々の相関図
- 父母(天・地)からすべてが生まれる
- ヴァルナがルールを敷き、インドラが敵(ヴリトラ)を倒して世界を動かす
- アグニとソーマが、人間と神々のエネルギーを循環させる
- ウシャスやスールヤが、その運行を日々繰り返す
全体を通して、神々は個別に存在するのではなく、宇宙という巨大なシステムの各パーツとして、密接に連携し合っていると解釈できます
この天地創造のあり方は、実は「北欧神話」とほぼ同じです
どちらも同じインド・ヨーロッパ語族としてルーツを共有しているからですね
北欧神話をベースとするエルバフ編で、この最古の聖典の要素を絡めてくるのは、必然と言えるかもしれません
といったところで今回はお開き。
また来週。
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