この記事では
- ハヌマーンが活躍する「ラーマーヤナ」のあらすじ
- ルフィはハヌマーン説の結論
- 「ラーマーヤナ」は「天空の城ラピュタ」のモデル
- バラモン教とルナーリア族
- 世界各地に残る「巨人解体型の天地創造神話」の共通点の謎
- ルナーリア族はアーリア人
について書いています。
”ハヌマーン”が登場する『ラーマーヤナ』とは
『ラーマヤナ』
インドの国民なら子供でも説明できる2大叙事詩の『マハーバーラタ』と『ラーマヤナ』
日本で言うところの”桃太郎”と”サルカニ合戦”のようなもので、どちらも2大勢力の戦争の話です。
ハヌマーン”はその一つ『ラーマーヤナ』に登場します。
物語の主人公は”ラーマ王子”。
”ハヌマーン”は”ラーマ王子”の”家来”として活躍するキャラです。
※この話が中国に伝わり、三蔵法師の家来”孫悟空”のモデルになったとされます。
『あらすじ』
神族 vs 魔族のせめぎ合い。
神族最強の”インドラ”が”ラーバナ”の魔族軍に倒され世界は魔族に支配された。
魔族の脅威に苦しめられた神々は”ヴィシュヌ”に助けを求めると、”ヴィシュヌ”は人間の王子”ラーマ”に転生して”ラーバナ”を倒すと約束してくれた。
※頭が10個、腕が20本ある魔族の王”ラーバナ”
ヴィシュヌの生まれ変わり”ラーマ王子”は、絶世の美女”シータ姫”と結婚する。
その”シータ姫”が魔族の王”ラーバナ”に誘拐された。
”ラーマ王子”は”シータ姫”を取り戻す為、ジャングルの猿たちを手下にして軍隊を作る。
まず”シータ姫”の居場所を探す”偵察隊”に名乗り出たのが”ハヌマーン”。
※嵐の神”ヴァーユ”の生まれ変わり(または息子)とされる。
風に乗って空を飛べる”ハヌマーン”が”ラーバナ”のアジトを突き止める。
場所はインドの南にあるランカー(現在のセイロン島、またはスリランカ島とも)
※涙のような形の大きな島がセイロン島
敵のアジトに幽閉された”シータ姫”も発見し、窓から声を掛ける。
「ラーマ王子の家来の”ハヌマーン”です。ラーマ王子と軍隊を連れて助けに来るので待っててください」
”シータ姫”に伝言して”ラーマ王子”の元へ帰ろうとした時、敵の見張りに見つかってしまう。
尻尾に火をつけられてしまうが、逆にその火で敵アジトのジャングルを大火事にして、その隙に逃げることに成功。
尻尾の火を消そうとして顔に近づけたら顔が真っ黒に焦げてしまった。
しかし”ハヌマーン”は
「この真っ黒に焦げた顔こそ”シータ姫”を発見して敵地を火事にしてやった証拠となる。ハヌマーン一族の誇りだ。神よ、子孫にも証を受け継がせてくれ」と頼んだ。
※インドに生息する顔が黒い猿”ハヌマーンラングール”
そして大戦争が始まる。
最終的には”ヴィシュ”の生まれ変わりだったことを思い出した”ラーマ王子”が、最強の矢を放って”ラーバナ”の10個の頭を全て貫いて勝ちました。
※最強の矢を構える”ラーマ王子”
神話のオチなんてこんなモノで、勝たせたいキャラを勝たせるためにはなんでもアリなんですよね。
結論「共通点はあるがルフィっぽくない」
あらすじを読んで貰ってわかったように、”ハヌマーン”は率先して”ラーマ王子”の家来になり、命がけで”ラーマ王子”に尽くすことを喜びとする猿でした。
まず性格がルフィと正反対ですね。
確かに、猿という以外にもいくつか共通点はありました。
自由に風に乗り海を飛び越えるところ。
大きくなったり小さくなったり、体の大きさを自在に変えられるところ
しかし、”奴隷解放”や”雷耐性”や”打撃無効”などの要素は『ラーマーヤナ』には書かれていませんでした。
「他にもハヌマーンが登場する神話もあるはず」
「”ハヌマーン”をモデルにして中国で作られた”西遊記”の”孫悟空”の設定も含む」などと言い出したらキリがないので認めません。
結論
『ラーマーヤナ』を読む限り、ルフィの真の能力は”サルサルの実”幻獣種”ハヌマーン”ではございません!
それより気になる『シータ姫』
実は”ヴィシュヌ”が人間界に転生した時、魂を2つに分裂させていました。
片方は”ラーマ王子”に転生し、もう片方の魂は”シータ姫”として転生していました。
つまり、もともと1つだった”ラーマ王子”と”シータ姫”。
惹かれ合って結ばれたのは当然だったのです。
”ヴィシュヌ”の生まれ変わりなので、魔族の”ラーバナ”に屈することなく純潔を守り切った”シータ姫”
ちなみに魔族の”ラーバナ”は”プシュパカ”という空飛ぶ要塞(戦艦)を所有しています。
これが”天空の城”のモデルでしょう。
と言うことで”天空の城ラピュタ”は”ラーマーヤナ”がモデルと考えられます。
神話の共通点とワンピースの謎
以上で僕の中での”ハヌマーン”ブームは終わりです。
ただ、インドの宗教の起源や、宗教の元になったインド神話の元ネタに興味が湧いて色々と追加で調べてみたところ、”ワンピースの謎”に繋がるヒントが得られましたので説明します。
まず『ラーマーヤナ』も『マハーバーラタ』もヒンドゥー教の聖典(教典)です。
キリスト教で言うところの”新約聖書”。
キリスト教徒は”新約聖書”だけでなく”旧約聖書”も学んでいるので、「”あの神”の生まれ変わりがキリストかぁ」とすんなり受け入れます。
では、ヒンドゥー教徒にとっての”旧約聖書”は何か。
ヴィシュヌが初めて登場した神話はどんなものかを辿って行くと
”バラモン教”の『リグ・ヴェーダ』に登場する脇役の神だったことがわかりました。
アーリア人の宗教”バラモン教”
”バラモン教”とは、トルコやイランなどの北西から侵攻してインドを攻め落とした”侵略者”の宗教で、インドの歴史上、最悪の文化”カースト制度”を普及させたのがバラモン教”です。
支配者側の”アーリア人”は、子孫の代まで永遠に安泰となるようカースト上位に居座り、土着のインド人を奴隷として使える立場を維持するために宗教を利用しました。
”アーリア人”の信仰する”バラモン教”の教典”リグ・ヴェーダ”の教えでは、世界の起源についてこう書かれています。
宇宙や太陽が存在するよりも前。 この世界には原始の巨人”プルシャ”だけがあった。 千個の頭、千個の目、千本の足を持つその巨人の体から 太陽、月、神々、人間。この世の全てが生まれた。 神々が”プルシャ”の体を切り分けると 口がバラモン(司祭)となり 両腕はラージャニヤ(武人)となり 両腿からはヴァイシャ(農民、商人) その両足からはシュードラ(奴隷)生じた。
要するに
「世界を作った神が決めた身分制度なので、絶対に逆らっちゃダメですよ」
「もしも逆らったら天罰が下るか、死刑にするので絶対に守れよ」です。
ムナクソ悪い後半部分は置いといて、注目すべきは前半の”天地創造”です。
この内容は『巨人解体型』天地創造説と言い、コチラの記事で書いた『北欧神話』と同じ「巨人の死体から世界は作られた」パターンですね。
ちなみに中国にも同じパターンの天地創造の言い伝えがあります。
何千年も前の伝説で、中央アジアと北欧の神話の内容がソックリってあり得るんでしょうか。
考えられる原因は
「元ネタは同じでそれが世界に広まった」説。
でも、隣の国を侵略するだのしないだの、戦争の絶えない野蛮な時代に神話を仲良く共有するでしょうか。
ちょっとムリがありますよね。
となると
『世界中の人が目撃した”事実”だから似たような言い伝えが各地で残っている』説もあり得ますよね。
こっちの方がロマンがあります。
となると、”天地創造”の真実は”巨人族”が握っていそうですね。
ちなみに
インドを支配し、”バラモン教”を信仰した”アーリア人”は、”ルナーリア族”のモデルだと考えます。
アーリア人は元々”イラン高原”のあたりの民族でした。
イラン高原と言えばペルシャ帝国が栄えた土地です。
ペルシャ帝国と言えば、ゾウのモデルになった国ですね。
ワノ国でこんがらがっている色々な謎が、少しづつ繋がって来た気がしますね。
『物語のモデル』シリーズ
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