ハヌマーンが登場する『ラーマーヤナ』とは

『ラーマヤナ』
インドの国民なら誰でも必ず知っているとされる2つの戦争の物語
『マハーバーラタ』と『ラーマヤナ』
そのうちの一つ、『ラーマーヤナ』にハヌマーンが登場します
あらすじ
その昔、神族と魔族が戦っていた
神族の最強の戦士インドラが、魔族軍に倒されてしまい世界は魔族に支配された
魔族に苦しめられた神々は光の神ヴィシュヌに助けを求めると
「じゃあ人間の王子ラーマに転生するので、ラーバナを倒してあげましょう」と約束してくれた
↓魔王ラーバナの図

しばらくすると、ヴィシュヌ神の生まれ変わりであるラーマ王子が生まれ、成人まで成長するとシータ姫という世界一の美女と結婚しました
しかしある日、シータ姫が魔王ラーバナに誘拐されてしまいます
ラーマ王子はシータ姫を取り戻す為に、ジャングルの猿たちに命令して軍隊を作りました
そしてシータ姫の居場所を探すための偵察部隊をになったのが猿の神ハヌマーンです
ハヌマーンは嵐の神ヴァーユの生まれ変わりなので、風に乗って自由に空を飛べるため、偵察部隊にはピッタリでした
そしてハヌマーンが敵のアジトを突き止めます
その場所はインドの南にあるランカーでした(スリラ名前の由来です)
ハヌマーンはそのまま、閉じ込められていたシータ姫も発見し、窓の外からコッソリと声を掛けました
「私はラーマ王子の家来のハヌマーンと言います。もうすぐラーマ王子が軍隊を連れて助けに来るので、安心して待っててください」
と、シータ姫に伝え、味方に合流する為の帰り道で、ハヌマーンは敵に見つかってしまいました
しばらく逃げ回っていると、敵は火矢を撃ってきたので、ハヌマーンの尻尾に火がつきました
しかしハヌマーンはその火を利用して敵アジトの周囲の草を燃やして火事を起こし、その隙に逃げました
その時の火傷で顔が真っ黒に焦げてしまいます
しかしハヌマーンはその火傷を誇りに思い、子孫にも「黒い顔は戦いの勲章であり、一族の誇りだ」と言いました
なので、インドに生息する顔が黒い猿をハヌマーンラングールと呼びます。

その後、ハヌマーンがラーマ王子と合流する、シータ姫を巡る大戦争が起こります
この時まではラーマ王子は自分が光の神ヴィシュの生まれ変わりだと言うことは覚えておらず、ただの人間の王子として、妻を取り返したいだけでした
しかし、その後、なんやかんやあって、神だった記憶を思い出したラーマ王子が、最強の力を発揮して魔王ラーバナを殺しました

結論「共通点はあるがルフィっぽくない」

ということで、ハヌマーンはラーマ王子の家来であり、ラーマ王子に尽くすことを喜びとする下っ端の猿だったことがわかりました
ルフィと正反対の性格ですね
ただ、『猿』以外にもいくつか共通点はありました
自由に風に乗り海を飛び越えるところ

大きくなったり小さくなったり、体の大きさを自在に変えられるところ

しかし、奴隷解放や雷耐性や打撃無効などの要素は『ラーマーヤナ』には書かれていませんでした
「他にもハヌマーンが登場する神話もあるはず」
「ハヌマーンをモデルにして中国で作られた西遊記の孫悟空の設定も含む」などと言い出したらキリがないので認めません
結論
『ラーマーヤナ』を読む限り、ルフィの真の能力は”サルサルの実”幻獣種”ハヌマーン”ではございません!
それより気になる『シータ姫』
ラーマヤナを読んだ感想は
「これ、ラピュタのモデルじゃん」です。

誘拐されたシータ姫
魔族が使った空飛ぶ要塞

神話の共通点とワンピースの謎

インドの宗教の起源や、宗教の元になったインド神話の元ネタに興味が湧いて色々と追加で調べてみたところ、ワンピースの謎に繋がるヒントが得られましたので説明します
まず『ラーマーヤナ』も『マハーバーラタ』もヒンドゥー教の聖典(教典)です
キリスト教で言うところの新約聖書
キリスト教徒は新約聖書だけでなく旧約聖書も学んでいるので、「あの神の生まれ変わりがキリストかぁ」とすんなり受け入れます。
では、ヒンドゥー教徒にとっての旧約聖書は何か
ヴィシュヌが初めて登場した神話はどんなものかを辿って行くと
バラモン教の『リグ・ヴェーダ』に登場する脇役の神だったことがわかりました
アーリア人の宗教バラモン教
バラモン教とは、トルコやイランなどの北西から侵攻してインドを攻め落とした侵略者の宗教で、インドの歴史上、最悪の文化カースト制度を普及させたのがバラモン教”です。
支配者側のアーリア人は、子孫の代まで永遠に安泰となるようカースト上位に居座り、土着のインド人を奴隷として使える立場を維持するために宗教を利用しました。
アーリア人の信仰するバラモン教の教典リグ・ヴェーダの教えでは、世界の起源についてこう書かれています。
宇宙や太陽が存在するよりも前。 この世界には原始の巨人”プルシャ”だけがあった。 千個の頭、千個の目、千本の足を持つその巨人の体から 太陽、月、神々、人間。この世の全てが生まれた。 神々が”プルシャ”の体を切り分けると 口がバラモン(司祭)となり 両腕はラージャニヤ(武人)となり 両腿からはヴァイシャ(農民、商人) その両足からはシュードラ(奴隷)生じた。
要するに
「世界を作った神が決めた身分制度なので、絶対に逆らっちゃダメですよ」
「もしも逆らったら天罰が下るか、死刑にするので絶対に守れよ」です。

ムナクソ悪い後半部分は置いといて、注目すべきは前半の天地創造です。
この内容は『巨人解体型』天地創造説と言い、コチラの記事で書いた『北欧神話』と同じ「巨人の死体から世界は作られた」パターンですね
ちなみに中国にも同じパターンの天地創造の言い伝えがあります
何千年も前の伝説で、中央アジアと北欧の神話の内容がソックリってあり得るんでしょうか
考えられる原因は
「元ネタは同じでそれが世界に広まった」説
でも、隣の国を侵略するだのしないだの、戦争の絶えない野蛮な時代に神話を仲良く共有するでしょうか
ちょっとムリがありますよね
となると
『世界中の人が目撃した事実だから似たような言い伝えが各地で残っている』説もあり得ますよね
こっちの方がロマンがあります
となると、天地創造の真実は巨人族が握っていそうですね

ちなみに

インドを支配し、バラモン教を信仰したアーリア人は、ルナーリア族のモデルだと考えます
アーリア人は元々イラン高原のあたりの民族でした
イラン高原と言えばペルシャ帝国が栄えた土地です
ペルシャ帝国と言えば、ゾウのモデルになった国ですね
ワノ国でこんがらがっている色々な謎が、少しづつ繋がって来た気がしますね。
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