日本3大怨霊
【怨霊(おんりょう)】とは
自分が受けた仕打ちに恨みを持ち、たたりなどをする、死霊または生霊のことである。
悪霊に分類される。
出典:Wikipedia
人は強い怨みを抱いたまま死ぬと怨霊となり、生きている人間に災いをもたらすとされています。
祟りに遭うと謎の突然死を迎えたり、子孫も謎の病気で命を奪われてたり、町単位で疫病が蔓延して大勢が死亡したりします。
【神格化】
怨霊の怒りは 立派な神社を建立してそこに神として鎮座してもらうようにお祈りすることで収まります。
非常に強力な怨霊に対しては、亡くなった土地や生前に活躍した場所など、ゆかりの土地にも神社を建てて祀ることもあります。
一番有名なのは、日本全国に12000社ある天神・天満宮の主神・菅原道真です。
天神様は元々『日本三大怨霊』の1つとされるほど畏れられていた悪霊です。
菅原道真(雷神・天神)
ビッグマムの技名『天満大自在天神』とは、菅原道真が神格化した後の名前です。
なぜこの名前が雷の技名なのかというと、菅原道真が怨霊と呼ばれていた頃の得意技が落雷だったからです。
時代 | 平安時代中期(845~903年) |
家柄 | 中級貴族 / 学者の家系 |
怨霊になった地 | 九州 / 太宰府 |
異名 | 雷神 |
祟り | 落雷・都に疫病蔓延・呪い殺し |
人としての生涯
菅原道真は幼少期から学問の才能を発揮し、天才の名を欲しいままにしてきたスーパーエリートでした。
その才能に目を付けた宇多天皇により、朝廷の重要ポジション右大臣(日本の権力者ナンバー3)に大抜擢されます。
しかし、その存在を邪魔に思った太政大臣(ナンバー1)と左大臣(ナンバー2)とその取り巻きの貴族官僚たちによって嵌められ 天皇家の乗っ取りを企む反逆者に仕立て上げられしまい、朝敵として京の都を追放されます。
地位も財産も仕事も奪われ、九州・太宰府へ島流しにされた道真は2年後に無念の死を迎えました。
怨霊・雷神
道真の死から3年後。
京都の貴族の間で謎の突然死が立て続けに起こります。
それも菅原道真を陥れた左大臣派の官僚ばかり。
さらに「道真が謀反を企てている」とウソの報告をした実行犯が、雷が直撃して死亡するというとても珍しい死に方をしたことで、宮廷中に道真の怨念、祟りとの噂が立つようになります。
その後も止まらない左大臣派の貴族の突然死
町には疫病が蔓延し大勢が死亡
雨が降らず作物の不作で深刻化する食糧問題…
道真の怨念の噂は町中に広まり、年々その祟りが強くなるばかりだと人々を震え上がらせました。
そして極め付けが清涼殿落雷事件です。
道真に島流しの刑を言い渡した醍醐天皇と官僚達が食糧問題の会議をしていると、その建物を狙い撃ちしたように雷が降り注ぎ、建物は燃え上がり、外に逃げた貴族の数人が落雷で死亡した。
この出来事で菅原道真は雷神と呼ばれるようなりました。
供養そして神格化
その後も約30年以上怨霊として暴れた菅原道真でしたが、突然飽きが来ます。
ある日 道真は、自分の乳母だった多治比文子(たじひのあやこ)の枕元に立ち
「北野(京都)の地に祀ってくれれば報復の心も安らぐことでしょう」と伝えました。
文子がそれを役人に話すと、道真の祟りにを何とかしたかった朝廷はすぐに着工を命じます。
そして枕元のお告げから5年後、北野の地に北野天満宮が竣功。
そこに道真を祀り、約40年ぶりに京の都が平静を取り戻しました。
日本三大天神
日本全国に12000社ある天神・天満宮の中で、菅原道真との関係が深い神社TOP3が『日本三大天神』と呼ばれています。
この3社以外はご利益が薄い?
- 菅原道真が自分で指定した京都の北野天満宮(総本社)
- 無念の死を遂げた福岡県太宰府市にある太宰府天満宮
- 島流しで太宰府に向かう途中に立ち寄り「良いところだ。ずっとここに居たい。大宰府に行きたいくない」と言ったという山口県防府市の防府天満宮
呪術廻戦に名前が登場
「劇場版 呪術廻戦 0」の入場特典として配布された「呪術廻戦 0.5 東京都立呪術高等専門学校」、通称“0.5巻”内で、五条悟と乙骨憂太が菅原道真の子孫と明かされています。
『劇場版 呪術廻戦 0』Amazon Prime Video
崇徳天皇(妖怪天狗)
『日本3大怨霊』とは
- 菅原道真(雷神・天神)
- 崇徳天皇(妖怪天狗)
- 平将門(日本一の大怨霊)
の3人のことです。
菅原道真は上で紹介した通り、平将門は別格過ぎるので別の記事で特集を組みます。
残る崇徳天皇が3大怨霊の中で最弱でした。
時代 | 平安時代後期(1119~1164年) |
家柄 | 皇族 |
怨霊になった地 | 四国 / 讃岐 |
異名 | 妖怪天狗 |
祟り | 天皇家の人間が謎の死を遂げる |
怨霊になるまで
崇徳天皇は歴代天皇の中でも特に不運でした。
細かく説明すると長くなるので箇条書きでまとめます。
- 天皇家と言えば親子間の熾烈な権力争いが定番
- いつまでも権力を手放さない白河上皇(崇徳天皇のひいじいさん)と、早く権力を手に入れたい鳥羽天皇(崇徳天皇の父)が対立
- 崇徳天皇は幼い頃から家族の権力争いに巻き込まれていた
- ひいじいさんからは良いように利用され 父親からは敵扱い
- ひいじいさんが亡くなると父親は崇徳天皇の排除を企み罠に嵌めた
- 天皇家に生まれながら一度も権力を手に出来ない人生が確定してしまう
- 一か八か、武力で権力を手に入れるために戦を仕掛けるも大敗(保元の乱)
- 正式に天皇に逆らった朝敵となり、四国に島流しの刑にされる
- 無謀な戦を反省し無駄死にした部下を供養する為に仏教教典の写本作りに没頭
- 完成した写本を朝廷に送り寺に収めるよう頼むが「呪いが込められているに違いない」と受け取りを拒否され送り返されてしまう
- 怒り狂った崇徳上皇は突き返された経典の全ページに自分の血で呪いの言葉を書き殴り復讐を誓いました
「妖怪天狗になって天皇一族を転落させてやる」
そして宣言通りに朝廷で異変が起こるようになります。
貴族達が次々と不審死を遂げたり、天皇が病気になったり、大火事が発生するなどの災厄が次々と起こり、崇徳上皇の祟りだとして畏れられました。
供養
祟りを畏れた朝廷は上皇が葬られた香川県坂出市にある白峯陵の隣に法華堂(皇族の納骨堂)を建立しました。
※白峯寺 頓証寺殿
それにより崇徳上皇の怨霊はあっさりと鎮まります。
その後、孝明天皇が異郷に祀られている崇徳上皇を生まれ育った京都に移すよう命じ、京都に白峯神宮が建てられました。
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三大怨霊の中でも最強の将門。
もちろんワンピースでも色々オマージュされてます↓