怨霊・平将門誕生【平安時代】
平将門（たいらのまさかど）は、桓武天皇の血を引いた孫という高貴な生まれにありながら、非凡な武力とカリスマ性で関東地方全域（坂東八国）を統一を果たした平安時代の武将です。
将門は、自分の力で関東地方をまとめ上げたことと天皇の血を引いていることから
「自分には日本の半分を収める資格があるから京都の天皇に並ぶ『新皇』である」と名乗りました。
これは本来
「西日本は天皇が、東日本は将門が、半分づつ仲良く日本を収めましょう」
という意味でしたが、将門の実力と勢いとカリスマ性を恐れた京都の朝廷は
”天皇の座を狙う朝敵”だとして討伐命令を出しました。
この決定に驚き、怖気付いた部下たちは
一斉に将門のもとから離れてしまいます。
孤立したところを大軍に攻られた将門はあっさりと討ち取られてしまいました。
日本史上初の『獄門』と『生首伝説』
五条悟が封印された獄門疆でお馴染みの獄門（ごくもん）という言葉
これは処刑された罪人の首を見せ物にする刑罰の”晒し首”のことです。
獄門が日本史で確認された中で最も古い記録が平将門とされています。
関東で討ち取られた将門は、京都で晒し首にされた事への怒りで怨霊として覚醒します。
なんと、将門の生首は夜になると目を開き
「おれの胴体はどこだ！胴体を持ってこい！まだまだ戦えるぞ！」と叫んだそうです。
この喋る生首伝説をオマージュしたのが錦えもんの登場シーンです。
以前紹介した日本3大怨霊の残り2人も、ビッグマムの技になったり、妖怪天狗の姿の飛徹として描かれたりと、ワノ国編でオマージュされていましたね。
ちなみに3大怨霊の順番は以下の通り。
いずれも不本意ながらに朝敵と呼ばれた共通点があるので、それが怨霊になるキッカケのようです。
| 享年（怨霊になった日） | 時代 | |
| 菅原道真 | 903年 | 平安時代（中期） |
| 平将門 | 940年 | 平安時代（中期） |
| 崇徳天皇 | 1164年 | 平安時代（後期） |
首を求めて動き出す胴体伝説
首を切られて関東に取り残されたままの胴体も、京都で叫ぶ生首に応じるように、夜毎に首を求めて動き回ったと言われています。
コチラ↑は両方が将門のオマージュだと思います。
※東京都で平将門を祀る神田明神の起源は
将門の胴体が力尽きて倒れた場所だという説があります。
名前の由来も
将門の胴体→ 体→ カラダ→ カンダ→ 神田
だとする説もあるとかないとか。
空飛ぶ生首伝説
京都で夜な夜な叫ぶ将門の生首は、3日目にとうとう胴体を求めて関東方面に飛び去ったという伝説もあります。
このシーンは将門の空飛ぶ生首伝説のオマージュでしょう↑
パンクハザード編は錦えもんの生首に始まって、ドフラミンゴファミリーの生首で終わりましたね。
ちなみに京都から飛来してきた将門の首は、胴体を見つけることが出来ずに力尽きたといいます。
首が落下した場所は将門塚として現在も残されています。
将門の怨霊を利用した結界【江戸時代】
ここまで平将門の情報をまとめると
- 天皇の血を引く王位継承者だった
- 武術の才能に恵まれて関東全域を統一した
- 地元である関東では民から信頼される英雄だった
- 本人にそのつもりは無かったが天皇の座を狙う朝敵にされた
- 死んでからも首を晒され最大限の辱めを受けたため怨霊として覚醒
- 怨霊の怒りの矛先は朝廷に向けられたまま
- 平安時代から令和になっても恐れられている
- 東京の守護神と関東最大の怨霊の二つの顔を持つ
つまり、京都の天皇家にとっては天敵
関東を拠点にして天下取りを目指す者にとっては心強い味方でした。
この力を利用して日本の中心地を関東に変えたのが徳川家康です。
北斗七星の形をした対天皇用の結界
東京のあたりはもともと沼地だった為、誰も欲しがらない土地でした。
当時の天下人だった豊臣秀吉は、自分を越える才能を持った家康に嫉妬し、脅威に感じていて左遷のつもりで江戸の管理を任せました。
しかし家康は「北に山があり南に海がある。東に川があり西には道路がある。風水的にとても良い土地だ」と言って埋め立て工事や水路の整備を進め、見事に江戸を大都市に生まれ変わらせました。
さらに、苦労して開拓した江戸の街を
京都の天皇に奪われないように、北斗七星の形に寺院を建てて結界を張りました。
上の図↑の北斗七星の位置にある神社は右上から順に
| 名称 | 名前の由来 | 祀られているモノ |
| 鳥越神社 | 生首が飛び越えた→トビコエ→鳥越 | 将門の手 |
| 兜神社 | そのまま将門の兜 | 将門の兜 |
| 将門塚 | 飛んできた首が落ちた場所 | 将門の首？ |
| 神田明神 | 体→カラダ→カンダ→神田 | 将門の胴体 |
| 筑土八幡神社 | 将門とは無関係 | 将門の足？ |
| 水稲荷神社 | 将門とは無関係 | 将門を討ち取った武将 藤原秀郷が建てた |
| 鎧神社 | そのまま将門の鎧 | 将門の鎧 |
と、まるで封印されしエクゾディアのように将門の体のパーツを分けて祀り結界にしたと言われています。
天皇は将門に呪われたくないから関東には近づけなかったそうです。
しかも家康は、将門の怨霊の力をコントロールする為に、人間だった頃の将門を討ち取った武将・藤原秀郷が建てた神社も組み込んでいます。
つまり、生前の将門に勝利している神も混ぜる事で、完全に将門を調伏していることになるのです。
抜かりないですね。
ところで北斗七星の形の意味が気になりませんか？
妙見信仰（北斗七星信仰）
平将門と徳川家康はどちらも妙見信仰（北斗七星信仰）でした。
昔 流行った宗教の一つです。
北斗七星は死を司る星座とされています。
ケンシロウもよく自分のことを死神だと言っていましたね
それを神として信仰する宗教は、常に死と隣り合わせの武人に人気だったようです。
昔の武将はみんな、ドクロのマークが好きな中二病だったという事ですね
妙見信仰とは
妙見菩薩（みょうけんぼさつ）
Wikipediaより引用
尊星王（そんしょうおう）
妙見尊星王（みょうけんそんしょうおう）
北辰菩薩（ほくしんぼさつ）などとも呼ばれる
政府 VS 江戸の結界【明治から大正時代】
明治維新が起こり江戸時代が終わります。
徳川幕府の世が終わり、王政復興の大号令が発表されて日本の政権は天皇に戻りました。
江戸時代の象徴であった江戸城は破壊され、その跡地には皇居が建てられ、京都から引っ越して来た明治天皇が住み着き、これ見よがしに徳川家から東京を奪い取ったことを世にアピールしました。
そして江戸の街に残された忌々しい対天皇家用の結界は、寺院の位置を変更して北斗七星を変形させたり、将門を祀るのをやめさせたりして徐々に解体していきました。
結界封じのための山手線
霊的な力は鋼鉄で断ち切れるとされています。
鉄は元々は鉄鉱石という鉱物で、大地の力が蓄えられた物質です。
つまり大自然の力を宿しているので、鉄鉱石を加工して作られた日本刀では妖怪や鬼を斬ることが出来ると考えられています。
鬼滅の刃でも同じようなことを言っています。
という事で、明治以降の政府は東京に張られた将門の結界を完全に断ち切る為に鉄道（山手線）を敷きました。
（※もちろん諸説あり）
1923年
山手線があと少しで繋がるというところで事件が起こります。
9月1日、関東大震災です。
首塚と兜神社を繋ぐ結界を断ち切るための、神田駅-秋葉原駅間の線路を繋ぐ工事の最中に地震が起こったそうです。
怒った将門が引き起こした地震によって、山手線の線路がグチャグチャに破壊され、開通は大幅に遅れたそうです。
マッカーサーも震え上がった将門塚の祟り【昭和から令和まで】
将門塚がある場所は皇居の目の前、東京駅から徒歩5分の一等地
住所は東京都千代田区大手町1-2-1です。
周りには政府の各省庁のビルが立ち並ぶ東京の中心地に、ポツンと場違いな石碑が建てられています。
このあたりの土地は戦後、GHQの指揮で開発工事が進められ首塚の土地も駐車場にする計画が立てられました。
ところが、首塚撤去工事が始まるとブルートーザーが横転して運転手が死亡したり、死傷者が続出したという伝説があります。
また、首塚の裏には大蔵省のビルがあり、将門塚の方角に背を向けて座った官僚が立て続けに病死したという言い伝えもあります。
さらに令和の現在でも将門の祟りが信じられている証拠が見つかっています。
コチラ、三井不動産の大手町再開発計画のH Pに掲載されていた画像です↓
『将門塚』と書かれた部分が避けられています
拡大した別の画像です↓
ご覧の通り、明らかに将門塚を避けて計画されています。
先ほども説明したように、将門塚の住所は東京都千代田区大手町1-2-1です。
敷地面積は約12平方メートル、約44坪くらい。
これを土地の価値で表すと地価40億円はくだらない超一等地になります。
そこを敢えて将門の為に残しておくということは祟りが実際にあるという事じゃないでしょうか。
関連動画
『帝都物語』Amazon Prime Video
平将門を世の中に広めたキッカケとされるのがこの映画『帝都物語』です。
当時の最先端技術を駆使したホラー映画です。
実際に観てみましたが内容は面白くないです。
でも出演者が超豪華。
藤虎のモデルである勝新太郎も出ていました。
また、この映画は呪術廻戦の元ネタとも噂されています。
主人公の加藤 保憲（かとう やすのり）が、怨霊・将門を復活させて東京を滅ぼそうとする映画ですが、
これが、両面宿儺の力を利用して呪力を持たない人間を滅ぼそうとする夏油、別名 加茂憲倫（かも のりとし）のモデルじゃないかという説があります。
名前の漢字が2つ同じ
やってる事もまぁ、似てると言えば似ています。
関連動画その2.平将門と北斗七星の謎ツアー
ミスター都市伝説が実際に神社を巡った動画。
このブログの画像のいくつかはこの動画から拝借しています。
分かりやすくて面白いです↓
関連書籍
平将門とは本当はどんなヤツだったのか？
この本が読みやすくて面白かった↓
将門を結界として利用した徳川家康。その裏には天海という謎の参謀の存在があった！
この本も面白かった↓
関連記事
日本3大怨霊をモデルにしたワノ国編↓
都市伝説一覧
全記事サイトマップ
