エニエス・ロビーが「単なる戦場」ではなく「司法の島」として機能していた理由は、モデルとなった実在の場所を知ると腑に落ちます。
アイスバーグの屋敷が何度も燃えた理由

CP9がウォーターセブンへ潜入中、アイスバーグの屋敷に繰り返し放火したシーンを覚えていますか。
あの屋敷のモデルはイタリア・ヴェネツィアの「ドゥカーレ宮殿」(ユネスコ世界遺産「ヴェネツィアとその潟」)です。
中世ヴェネツィア共和国の政治・司法・行政を一手に担った「権力の要塞」で、法廷・審問室・牢獄がすべて一棟に収まっています。

この宮殿、1574年と1577年、わずか3年の間に2度の大火災で焼失しています。
再建した直後にまた燃えた。
ルッチたちの放火で繰り返し炎上するアイスバーグの屋敷は、この史実の構造をそのまま引き継いでいますね。
「ためらいの橋」と「ため息の橋」

エニエス・ロビーに登場する「ためらいの橋」
ヴェネツィアには「ため息の橋(Ponte dei Sospiri)」が実在します。
1600年に建設されたこの橋の役割はひとつ、ドゥカーレ宮殿の審問室から向かいの新牢獄へ渡る通路です。
有罪を宣告された囚人がこの橋を渡る際、格子越しに運河の光景を眺めて漏らしたため息が名前の由来になっています。

名前が似ているだけじゃないですよね。
橋の「機能」が完全一致しています。
ためらいの橋を渡ったロビンが待っていたのも、二度と帰れない先での処刑でした。
ちなみにため息の橋の先にある牢獄から脱出した人間は史上たった一人だけいて、その名はカサノヴァ。
「不可能な脱獄」の伝説が、ロビンを救い出したルフィたちの話と重なりますね。
世界政府の「秘密司法」は中世ヴェネツィアが原型
中世ヴェネツィアには「十人委員会(Consiglio dei Dieci)」という組織がありました。
正式な裁判を経ずに投獄・処刑を決定できる影の執行機関です。
さらに宮殿の壁には「ライオンの口(Bocca di Leone)」と呼ばれる石製の投書口が複数設置されていました。
市民が匿名で密告状を投函できる仕組みで、告発された者は十人委員会に即座に引き渡されます。
告発の内容も、審議の結果も、一切公開されない。
この組織は1310年から約500年間、誰にも止められずに機能し続けた。
世界政府が800年間維持してきた構造と重なりますね。
表向き「平和と正義の維持」を掲げながら、実態は密告と密室の独断。
CP9の存在と、ロビンへの「死の宣告」はここから来ています。
エニエス・ロビー編の本質は、700年前のヴェネツィア史に丸ごと刻まれていましたね。
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